家業の伝統産業を受け継いで①|白河だるま総本舗(福島県・白河だるま)

家業の伝統産業を受け継いで①|白河だるま総本舗(福島県・白河だるま)

|1.300年の歴史をもつ伝統的工芸品「白河だるま」

 

白河だるまとは、江戸中期に松平定信公の「市民の生活をより元気に」という想いから誕生しただるまのこと。幸運をもたらす縁起物として誕生し、現在は福島県の伝統的工芸品として平成9年に認定されています。幸運の象徴とされている「鶴亀松竹梅」が顔の中に描写されているのが最大の特徴です。

そんな白河だるまを約300年前からつくり続け、Chara’ftと一緒にキャだるまも制作しているのが『白河だるま総本舗』14代目・渡邊高章さん。はじめに白河市について、そして家業を継ぐきっかけと現在のだるまづくりの現場についてお話を伺いました。

 

渡邊高章さん。2016年から家業を継ぎ、白河だるま総本舗の14代目として代表を務める。

 

 

 

 

2.歴史も文化も根付く町

 

―まずは、だるまづくりの土地についてお伺いします。地名から名のついた“白河だるま”を作り続けている『白河だるま総本舗』はどんな場所にありますか?

 

福島県の南部にある白河市ってところです。チェーンの飲食店も多くあったり、高速道路や新幹線とかも通っていたりして関東圏への利便性の高い、住みやすい町だと思います。

 

―その白河市で渡邊さんも生まれ育ったんですね。

 

そうです。近くには復元したお城があったりもして。歴史的遺産や文化なども多いのが白河市の特徴ですかね。田舎すぎず、都会すぎずな感じかな。

 

2021年夏には「見て!学んで!楽しんで!」を体験できる白河だるまの観光施設『だるまランド』を白河市にオープン。
 

 

施設内には白河だるまの直営店のほか、作業場もあり職人が絵付けをしている現場を見学することもできる。

 

 


―現在、白河だるま総本舗さんでは何名の方が働かれているのでしょうか。

 

現場だと僕やパートさんも含めて大体25人くらいですかね。

 

―25名の中でどういうメンバーが何をして…などの決まった役割分担などはあるのでしょうか。

 

決まりきっている役割はないんですが…だるまづくりの工程として大きく分け“下地づくり”と“絵付け”の工程があって。その下地づくりで大体5~6人、絵付けで17~18人くらいが担当しています。その他に事務作業や梱包作業などもありますね。

 

―だるまづくりの工程ごとにメンバーがいて、バトンタッチしつつ作られているんですね。ちなみに代表の渡邊さんご自身はだるまづくりに携わっていらっしゃるんでしょうか。 

 

いえ、僕自身は制作には関わっていないです。代表というのもあり全体を統括しているようなイメージが近いですかね。ただ、前代表の父と母は制作チームの中にいますよ。父が下地づくりをメインに、母は絵付けをメインにしてだるまづくりをしています。

 

―ご家族も含めて結構大人数で制作をしていらっしゃるんですね!

 

そうですね…!同業の中では割と大所帯な方だと思います。

  

 

|3.家業を継ぎ、新たな試みを

 

―次に、家業についてお話しを聞かせてください。先程のお話にもありました前代表であったお父様から家業を継いで14代目代表となった渡邊さんですが、どんなきっかけがあったのでしょうか。

 

生まれ育った時から商売をしていた家だったので家業をやってみたいなとは漠然とずっと思っていました。ただ僕が次男というのもあり、一応家業を継ぐ権利は長男である兄にあったんです。ただ、進学や就職のタイミングで改めて兄と話し合った結果、兄が違う道に、僕が家業を継ぐ、ということに決まりました。

 

―そうだったのですね。渡邊さんの方が家業への思いが強かったということでしょうか。

 

そうですね。幼少期から家業をやってみたいなとは思っていたので。

 

―お父様が代表をされていた時と比べて、渡邊さんが代表になったことでどんなことが大きく変わりましたか。 

 

事業内容的にはキャラクターコラボなどのOEMを受けるようになったのですが、その影響もあってかスタッフの年齢層が若くなりましたね。

 

―そうなんですね!ちなみにお父様が代表の時のスタッフの年齢層っていうのは?

 

50〜60代が平均だったかと思います。今は35〜40歳くらいまでには下がっているんじゃないかな。僕が代表になってから実際に雇用を若くしていこうとは思っていたんですが、それが現実的にできてきた要因の一つがキャラクターとのコラボ案件ですかね。

 

―なるほど。コラボ案件の露出が増えてから若い方の声や反響も増えていったような感じでしょうか。 

 

そうですね。伝統産業って正直同じものを作り続けているようなイメージがあるかもしれないですけど、キャラクターコラボなどを積極的に行っている事業会社ということで求人の時などに注目されることも増えましたね。

 

―確かに…伝統産業を受け継ぎながらも流行のキャラクターなどとコラボしていたら目を引きますね…!
最後にだるまづくりの現場についてお伺いします。先程、現場のお写真を拝見したんですが、女性が多いんでしょうか。

 

僕と父以外は全員女性ですね。意図とかは特段ないんですが女性が集まってきたというか…

 

―そうなんですね。30代ぐらいの女性から、50代・60代の女性まで活躍されているということですね。 

 

はい。各世代に3〜5人ずつくらいはいてくれてますね。

 

― 幅広い世代が集まって1つのモノづくりをしている環境、とても素敵です!

 

 

 

次の読みものでは白河だるま総本舗の他にはない魅力や、過去の作品の中で渡邊さんご自身が最も思い入れの強いだるまについてご紹介します。

次回もお楽しみに!

 

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